先物・金融商品の裁判例の要旨

神戸地方裁判所姫路支部:平成23年5月9日判決

【番号】 676(702)

【裁判所】 神戸地方裁判所姫路支部

【判決日】 平成23年5月9日判決

【判例集】 63  1頁

【識別】  国内公設

【業者】  日本アクロス株式会社、代表取締役・取締役・従業員

【参照条文】民法709条、改正前商法266の3第1項(現:会社法429条1項)等

【内容】

1.被告従業員につき、違法な勧誘行為を肯定し、適合性原則違反につき、原告は、商品先物取引を理

 解する能力がないとはいえず、投資信託500万円、国債1000万円及び株式5000株、損失額相

 当額の預貯金を有していたものの、原告は無職の年金取得者であって、それらは余裕資産とはいえない

 として、肯定。説明義務違反、断定的判断の提供、新規委託者保護義務違反、無意味な反復売買も肯定。

2.代表取締役につき、本件会社に受託業務における法令遵守のための措置を設けてはいたものの、顧

 客との紛争をひん発させるおそれがある不十分なものであり、本件取引以前も会社従業員の違法行為を

 認定した判決が多々あったこと等からすれば、会社従業員が違法行為を繰り返していることは認識して

 いたといえ、改善義務につき任務僻恵があり、少なくとも義務違反に重過失があったとして、取締役の

 任務僻怠責任を肯定。過失相殺なし。

3.新規委託者の審査等を職務とする管理部の統括責任者たる常務取締役につき、本件会社が大規模で

 あること等から、超過申出の審査制度が適切に構築・実施されていれば、特段の事情がない限り、報告

 内容をもとに審査をすれば注意義務を尽くしているが、そうでないならば、適切な審査制度を構築・実

 施する義務を負うとし、本件について、適切な審査制度が構築・実施されていなかったとして、取締役

 の任務僻怠責任を肯定。過失相殺なし。

 

[通常検索フォームへ戻る] [複合検索フォームへ戻る]

検索結果へ戻るにはブラウザの「戻る」をクリックしてください。