代表挨拶
みなさん こんにちは
代表幹事の平田元秀と申します。
当研究会は、1982年(昭和57年)3月に先物取引被害に取り組む全国の弁護士有志の組織として結成された団体です。豊田商事の純金ファミリー証券商法の被害が全国で吹き荒れる中で、被害救済に当たる各地の弁護士が、大阪の金先物取引被害問題研究会の結成を皮切りとして各地に研究会を結成し、これを母体に全国的なネットワークとして、当研究会が発足したのです。
当研究会は、悪質な消費者被害からの被害回復と同種被害の抑止のための活動にそれぞれの地域で熱心に取り組む全国各地の弁護士有志、いわゆる消費者弁護士を母体としています。
こうした会員の構成から、当研究会は、差金決済の証拠金取引(デリバティブ取引)では、無意味な反復売買や向い玉等を用いた、「客殺し」と呼ばれる悪質商法を繰り返す業者が、大きな潮流として存在していた国内公設の商品先物の分野で、今なお繰り返される先物取引被害のほか、「くりっく株365」取引被害や、外国為替証拠金取引(FX)被害、オプション取引被害といったデリバティブ取引被害の救済などに取り組むとともに、広義の有価証券の被害に関しても、無登録業者による未公開株・投資事業組合・匿名組合・ファンド・社債等の詐欺的な投資被害の救済のため、熱心に活動しています。
また、そのほか、ジャパンライフ、ケフィア事業振興会、WILL等の、ポンジ・スキーム被害の現実的な被害回復に向けた訴訟等の活動、SNS等のデジタルツールの匿名性・本人確認の不十分性を悪用した消費者被害である、ロマンス詐欺・暗号資産に関するマルチ商法等の現実的な被害回復に向けた訴訟等の活動にも、各地で熱心に取り組んでおります。
私たちの活動の原点は,豊田商事事件の記録「虚構と真実」(全国豊田商事被害者弁護団連絡会議編)の発刊の辞にこめられた次の言葉に凝縮しています。以下にこれを引用して、代表幹事の挨拶を終わりたいと思います。
「司法、そしてその一翼を担う弁護士が、社会的な不正を明らかにしてその被害を救済し、またその不正を阻止し再発を防止することについて、固有の方法を持ってする一定の役割を担っていることはもとよりであるが、それは本来、立法や行政があるいは社会の諸機能が、それぞれの役割を然るべく果たしている状態とのバランスの中で果たされるべき役割であるはずである。豊田商事事件における弁護士と司法は、右のバランスが欠けた中で無理な異常緊急出動を強いられたというべきである。もとよりこれもまた、その状況下においては、逃げることなく私たちが果たさなければならない役割であった。しかしこれは異常なことであったということもはっきりさせておかなければならない。このことは、たとえ1年でも早く行政や立法による何らかの規制が行われていたならばどれほど多くの被害がそもそも発生せずに済んだかという一時を考えただけで誰の目にも明らかである。」
「最後に確認されるべきことは、豊田商事事件のような被害が二度と再び起ることを許してはならず、これを生ぜしめた私たちの社会と国の病根を改善する努力と希望を失うことなく継続しなければならないということである。」
「あの苦しみと困難の中で、被害者の人たちと私たちが、あのように、共にたたかったことを私たちは決して忘れないであろう。また、その間に亡くなった人たちをはじめとする被害者の人たち一人一人のそれぞれに重く尊い人生の姿は、この豊田商事事件と共に決して人々から忘れられることがあってはならないと、心に銘記するものである。」
2023年(令和5年)6月1日
先物取引被害全国研究会 代表幹事
弁護士 平田元秀